シンガポールで保険を買ってみた
ここではシンガポール在住の方向けにシンガポールの貯蓄型保険について実体験をベースに解説します。
私はシンガポールに来てから投資を始めましたが、現在3000万円ほどを運用しています。保険商品も資産運用目的で2つ購入しています。(私の資産配分はこちら)
日本では魅力がないとかなり叩かれている貯蓄型保険ですが、シンガポールの保険は投資商品としてなかなか優秀です。利回りもよく、元本保証がされているので守りの資産形成としては有用です。
「実際利回りは?」「契約は複雑?」「日本に帰ったらどうなるの?」
など今後シンガポールで保険購入をされる方の参考になればと思います。
シンガポールでの保険購入が可能なのはシンガポール在住者のみです。
日本の方は購入できませんので悪しからず。
シンガポールで保険を買うメリット

シンガポールで保険の購入されている方のほとんどは資産運用が目的かと思います。
保険は本来は「何か起きた時の備え」という意図の商品ですが、ここでは資産運用の視点からみていきます。日本とは異なりシンガポールの保険は保障よりも貯蓄性に重きを置いた商品が多いです。
なぜシンガポールの貯蓄型保険が資産運用目的で注目されるかというと利回りが日本より格段にいいからです。
具体的には約4%の利回りを期待できます。 「保険」としての機能でなく金融商品として魅力的です。 この高い利回りがシンガポールで保険を買う最大のメリットです。
例えば4%でお金を回せれば低リスクで何もせず20年で資産は2倍になります。
払い込みを5年や10年などで行いその後寝かせておけば資産が増えます。
保険ですのでしっかりと払い込みを行い、途中解約をしないかぎり元本割れのリスクはありません。 (もちろん保険会社が潰れるなどのリスクはありますが、シンガポールにある保険会社の信頼性は高いです)
ということで、、
・ 約4 % の高利回りで資産運用が可能!
・元本割れのリスクは極めて低い(途中解約しなければリスクはほぼ0)
シンガポールの保険商品はとても魅力的な金融商品です。
シンガポールで保険を買うデメリット

安全に高利回りで資産運用が可能なシンガポールの保険商品ですが、デメリットもあります。
2つ上げます。
・お金を長期間寝かせる必要がある(資産の流動性が落ちる)
・書類や保険会社とのやり取りが英語
保険はまとまったお金を10年、20年と寝かせる必要があります。
つまり、この間このお金は動かせません。
約4%という利回りをノーリスクで得られるのはとてもうまみはありますが、もっと高利回りを実現できる自信のある方には魅力薄に映るかと思います。
実際私はリートや株で5%以上のリターンは実現できています。
もちろん株やリートはリスクがありますので、比較はできませんが高いリターンを求めるのであれば他の商品もあります。
そしてシンガポールで保険を買うということは当たり前ですが手続きが英語になります。
理解するのに骨が折れたり、担当者との会話に苦労をすることはあると思います。
いい勉強にはなりますが、お金が絡むことなのでリスクではあります。
各種保険と必要書類

私が実際に保険を購入する際に検討した保険は下記です。
学資保険:
子供の教育資金を作る為の保険です。16歳から20歳くらいまでの間段階的に返戻金を受け取る事ができます。
終身保険:
満期なしの生命保険。生命保険ですので死亡した場合は保険金が下ります。保険料払い込み後返戻金を受け取れます。
養老保険:
生命保険の一種です。保険料払い込み後に返戻金を受け取れます。運用期間や払込期間の設定を比較的自由に選ぶことができます。
契約自体は簡単です。
保険会社によって多少違いはありますが、基本的には下記があればどなたでも契約できます。
1. パスポートコピー
2. EP両面コピー
3. 現在シンガポール住所を証明できる書類 (3ヶ月以内の公共料金Bill等)
4. 契約書にサイン
保険会社は地元、外資系、日系と選択肢はたくさんあります。
大手ですと、NTUC Income, Great Eastern, Prudential, AIA, Aviva, 東京海上等でしょうか。
どこも格付けトップクラスの信頼のおける企業です。
保険の選び方購入の際のチェックポイント
利回りは3-4%で考えておく
投資目的であれば何よりも利回りが大事です。
これまで約4%との利回りが期待できると言ってきましたが、これは私の経験値のところもあり
もちろん大きくは外れていませんが、実際は3~4%と考えておくほうが安全です。
保険の払戻金は保険会社の運用如何で変動します。
保険証書には保証されているGuarantee金額とそれ以上のボーナス(利回り)が提示されます。
ボーナスは3%~5%弱で提示されていることが多いです。
保険会社の運用によってうまくいけば4%以上もらえますが、下手すると3%もいかないということになります。 4.5%の利回りを期待していても3%を割り込む可能性もあるわけです。
保証されている金額と最高利回り、過去の実績等は確認しましょう。
ちなみに私が購入したものは今のところ4%を超える利回りで来ています。
運用期間を考える
ある意味利回り以上に大事なのは運用期間の検討です。
10年か、20年か、30年か運用期間で最適な商品は変わってきます。
いくらくらいの金額をどのくらい寝かせるのかということを考えましょう。
これは保険で運用しようとしているお金を最終的に何に使うのかをクリアにしておくとよいかと思います。
支払い額と期間は無理のないように
「リスクなしで4%運用!」にうまみを感じ必要以上に大きな額を保険に回して支払いに困窮するのはまずいです。
支払えなくなって途中解約など最悪です。
支払い金額と期間は余裕を持ったものにしましょう。
流動性が低い資産は運用中はないに等しいです。
個人的には守りのお金として自分の資産運用ポートフォリオの一部として保険を位置付けるくらいがよいかなと思います。
実例紹介
実際に私が購入を検討した際に提案された保険商品の15年と20年後の払戻金を比較したものが
下の表です。2015年に購入した際の情報ですので、あくまで参考としてですが。実際は保険会社に確認下さい。
20年運用の払戻金比較例
学資 | 終身 | 養老 | |
保険期間 | 19年 | NA ( 12 )年 | 20年 |
保証金額 | 75,000 | 100,000 | 100,000 |
払込期間 | 10年 | 5年 | 5年 |
保険料 | 66,396 | 33,240 | 72,300 |
20年後払戻金 ( Guarantee) | 75,000 | 44,100 | 100,000 |
払戻率 | 113% | 133% | 138% |
20年後払戻金 ( 4.75% ) | 106,216 | 59,907 | 156,368 |
払戻率 | 160% | 180% | 216% |
学資保険、終身保険、養老保険の比較です。
Guaranteeは確定している払い戻し金額です。
保険会社の運用4.75%がMaxで運用期間20年の場合です。
こうみると養老がよさそうですが、終身は20年後もどんどん増えますので20年以上の長期になってくると終身の方がよいかもしれません。20年の養老は20年以上もっていても増えません。
学資は18, 19, 20年後にそれぞれ払戻金を得られます。
15年運用の払戻金比較例
終身 | 養老 | |
保険期間 | NA ( 12 ) | 15年 |
保証金額 | 100,000 | 100,000 |
払込期間 | 5年 | 5年 |
保険料 | 33,240 | 82,700 |
15年後払戻金 ( Guarantee) | 37,900 | 100,000 |
払戻率 | 114% | 121% |
15年後払戻金 ( 4.75% ) | 47,822 | 137,505 |
払戻率 | 144% | 166% |
終身保険、養老保険の比較です。
保険会社の運用4.75%がMaxで運用期間15年の場合です。
20年運用の比較と同じく期間が決まっている分、期間を区切ると養老の方がパフォーマンスはよいです。15年で166%まで持ってこれますね。
払戻金シミュレーション例
こちらは終身保険の払戻金シミュレーションの一例です。

Basic Premium Paid To-Date :これが保険料の支払額です。
上記はSGD 33,240を5年で支払うプラン。
Guaranteed:保証されている払い戻し金額です。12年で元本保証されます。
Projected at 3.25%, 4.75%
というところが保険会社の運用成績によって加算されるボーナスです。
例えば30年運用して利回り3.25% であればSGD 67,276 (202%)、利回り4.75%に成功すればSGD 89,775 (270%)になります。
Update ! 2021年1月の保険実例
下記は2021年1月に確認した保険条件の実例です。
参考になればと思います。
2015年時点より保険会社によって少し開きがある印象です。
以前より利回りが悪くなっている保険会社もありますので注意ください。
銀行金利が下がっている現在ですが、4%以上をまだ目指せる商品があります。
学資 | 個人年金 | 養老(20年時) | |
保険期間 | 19年 | 31年 | 80年 |
保証金額 | SGD 57,510.00 | SGD 82,000.00 | SGD 51,384 |
払込期間 | 5年 | 5年 | 15年 |
保険料 | SGD 50,470.00 | SGD 50,470.00 | SGD 45,000 |
払戻金(Gurantee) | SGD 57,510.00 | SGD 82,000.00 | SGD 51,384 |
払戻率 | 114% | 162% | 114% |
払戻金(Non-Gurantee) | SGD 91,596.00 | SGD 148,922.00 | SGD 52,643 |
払戻率 | 181% | 294% | 117% |
利回り | 3.74% | 4.28% | 4.75% |
英語が不安、日本に帰った後どうなるか?
英語が不安な方は日系の保険会社にされるのもよいと思います。
終身を検討する際は尚更ですね。もしもの時に残された方が英語で対応するのが難しい場合日系保険会社は心強いです。
ただ英語も主要な単語さえ覚えてしまえばそこまで難しくないので、仕事で英語を使う方であれば問題はないかとも思います。
保険の契約書でよく目にする単語
Death Benefit : 死亡した際にもらえる保険金(生命保険)
Guaranteed : 保証されている金額
Non-Guaranteed: 非保証金額(パーフォーマンス次第)
Surrender Value : 解約した際の金額
Total Premiums Paid:保険料の支払額
帰国後のことは、詳しくは契約の保険会社に確認ですが、
大手の保険会社であれば基本的にはシンガポールにわざわざ来ることなく解約や保険求償が可能です。
郵送やメール指示にて解約や保険求償を行い海外送金にも対応しているところがほとんどですので心配はないと思います。ただ詳細は保険各社に直接確認ください。
帰国後、満期保険金にかかる税金
保険を購入し、運用。その後日本に帰った場合、満期の保険料は日本在住時に受け取ることになります。
詳しくは日本の税理士に確認をお願いしたいのですが、
私の理解では、日本帰国後に払戻金を受ける場合は、所得税の対象となります。
日本における満期保険金は一時所得になり以下の計算式で課税対象金額が計算されます。
一時所得の計算:(満期保険金-支払保険料-特別控除50万円)÷2
参考リンク
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1755.htm
上記の計算で算出した一時所得を他の給与所得などと合わせ総所得とし、そこから控除、しかるべき税率で課税となります。
保険の払戻金の利益が50万円(1年で)に満たない場合は課税はされません。
ですので例えば養老保険等で年間が利益が50万以下になるように払戻をうければ理論的には税金はかかりません。
例えば、下記のようなの場合、満期保険金600万円(儲け200万円)にかかる税金は7.5万円(3.75%)となります。
詳しい計算方法は: https://www.hoholine.com/guide/choice/tax-maturityincome

給与や控除額によって税率は変わりますので、一概には言えませんが、
一度自分の課税所得、解約時の控除項目を確認しておくと安心ですね。
まとめ
・シンガポールの保険はリスクを取らずに利回り約4%を期待できるの優良商品!
・運用金額、期間はよく考えて無理なく活用!
・英語が不安な方は日系保険会社も検討可能
・帰国後の払戻金には税金がかかります。
コメント
はじめまして。
シンガポール在住5年目になるガリガリ大学と申します。
利率が非常に魅力的なので、娘の教育資金として積立保険を考えております。
日本へ帰国後に払戻金を受け取る場合、税金は発生しますか?
受取額から掛け金を引いた利益分に所得税が発生するものと思いますがご存知でしょうか?
先日、口座開設しているDBS銀行から売り込みがあり、話しを聞いてきました。
保険の内容はほとんど同じでした。
日本側での税金について聞いてみましたが、「税金はかからない」と言っていましたが怪しいと思っています。
下記、他に聞いてきた内容です、ご参考まで。
・日本人駐在員の場合は駐在歴3年が経つとこの積立保険に加入する資格ができる。国籍によって異なるらしい。
・払戻金を受ける前に銀行が倒産してしまった場合、掛け金の75%まで政府(再保険会社?)が保証する
・積立の途中で日本に帰国しても契約は継続、日本から積立することも可能。
・娘に譲渡することも可能。(日本に帰国している場合は贈与税が発生すると思われる。)また、孫世代まで譲渡して運用することも可能。
コメントありがとうございます。
保険会社にも確認をとってみましたが、シンガポールでは法令で保険代理店による税務についてのアドバイスは禁止されているようで、明確な返答は頂けませんでした。よってDBS銀行の「税金がかからない」という発言、厳密には法令違反にあたりそうです。
そして私の理解では税金がかからないということはないと思います。
私の理解では、一般的には下記の扱いになると思います。(すみませんが、最終的には日本の税理士さんにご確認をお願いします)
日本帰国後に払戻金を受ける場合は、所得税の対象となる。
所得税は、一時所得もしくは雑所得の対象となるため以下の計算式で課税対象金額が計算される。
【一時所得の場合】(満期保険金-支払保険料-特別控除50万円)÷2
【雑所得の場合】 受取金額全額
そして保険の解約返戻金を受け取る際には一時所得になるとの理解ですので、
最初の計算式で算出されることになるとの理解です。
ご参考までに、下記のリンクはお役に立てればと思います。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1755.htm
https://hoken.niaeru.com/media/tips/kaiyakuhenreikin-tax/
尚、銀行(保険会社)が倒産した場合、掛け金の75%まで政府(再保険会社?)が保証するとの話は初耳でしたので、こちらも確認したところ、シンガポールでの保険会社・銀行が倒産した場合、SDIC (Singapore Deposit Insurance Corporation)のスキームより最低の保障がされているとのことです。
商品によって保障の上限額が異なりますが、例えば終身保険は$100,000の保証があります。ですので75% というより額で決まっていそうです。
保険を複数持っている場合などSDICの保証額はケースバイケースのようです。
SDICのWebsiteに情報ありましたので、よろしければご活用ください。
https://www.sdic.org.sg/public/pp_overview
https://www.sdic.org.sg/calc/pop_calc
以上、不十分かもしれませんが、現状私の方で確認できた内容返答致します。
ご質問及び情報提供ありがとうございます。
はじめまして
保険のボーナス加算がよくわからないのですが、3.25%と4.75%での運用成績は毎月変わるのでしょうか?
また報告あるのでしょうか?
解約時にのみ分かるのでしょうか?
30年後の解約時にどちらか決まるのでしょうか?
基本的質問で申し訳ありませんが
よろしくお願いします
コメントありがとうございます。
保険のボーナス料率は基本的には1年毎に加算されていきます。
毎年レポートが送られてきてそこに結果として何パーセントのボーナスが付いたのかの記載があります。
ただ保険商品によって異なる場合もありますので、具体的な商品が決まりましたら保険会社に確認の方をお願い致します。
こんばんは
マレーシア・クアラルンプール在住の日本人です。
私はマレーシアの銀行系保険会社から貯蓄型保険を投資目的で2022年6月に購入しました。
保険料:月MYR1000(JPY30000)、保険期間20年です。
投資先は①マレーシアの国債社債投資信託②マレーシアの株式投資信託の2つです。
①は過去の運用実績22年間で180%の成長率(利益率?)があり単縦計算で年平均8%の成長率(利益率)です。
日本語で貯蓄型保険を検索すると悪い内容ばかり(投資効率が悪い、手数料が高いなど)で不安になっていました。今後はそんなに成長しないかもしれませんが、最低払込期間の6年は全うしたいと思います。
コメントありがとうございます。
マレーシアの国債利回り高いですね!
マレーシアの貯蓄保険については詳しくありませんが、香港やシンガポールの貯蓄型保険(おそらくマレーシアも同じ)日本での貯蓄型保険とは全くベルものですので、日本での貯蓄型保険へのネガティブコメントは気にされなくても良いかと思います。
またブログでもそのあたり解説しようかと思いますが、日本の貯蓄型保険は粗悪商品ですが、シンガポールの貯蓄型保険の投資効率は悪くないと思います。
保険のデメリットは支払いができなくなるリスクなので、私もKLCCと同じく払込を全うしたいと思います。