金利があがると株が下がるみたいだけど
なんで?
金利と株って関係あるの?
金利は投資における最重要ファクターです。
ここでは金利と株の関係について解説します。
金利は経済や株価に与える影響が非常に大きい最重要ファクターです。
ここでは初心者向けに金利と株価の関係を解説していきます。
本記事を読めば金利が高くなるとなぜ株価がさがるのか、金利と株の関係性がわかります。経済への理解も確実にレベルアップしますので、是非チェックしていってください!
金利と株価の関係
- 金利と株価はシーソーの関係
金利↑株価↓、 金利↓株価↑となります。 - 理論株価 = 利益 / 金利 – 成長率
- 金利の急騰で特に打撃を受けやすいの人気の高い新興割高株
金利と株価はシーソーの関係にあり、どちらかが上がると一方が下がります。
そのため、金利の上昇は株にとってはマイナス材料になります。
金利上昇の際には特に新興の人気株が激しく売られることになります。
投資の世界では理論株価や現在価値という考え方があり、これを理解できると理解が深まります。
それでは詳しく金利と株価の関係についてみていきましょう。
金利と株はシーソーの関係
基本的に金利と株はシーソーの関係あります。
まず金利とは一般的に10年国債の利回りことになります。
その中でも昨今の経済を考える上で最重要なのがアメリカ10年国債の利回りです。
金利(アメリカ10年国債の利回り)が上がれば株は下がり、金利が下がれば株があがります。
なぜかというと、金利(=国債の利回り)が上がると国債が投資対象として魅力を増し価格があがり
株は売られるからです。
例えば金利が3%になったとして、株の配当利回りが3%の場合、だったらわざわざリスクをとって株なんか買わずに安全な国債を買ったほうがいいやとなります。
逆に金利が0%に近くなってくると、国債なんて持ってても意味ないからリスクをとってでも株に投資しようとなるわけです。
投資家は常に一番儲けやすいアセットを探しています。
コロナ以降の金利と株の動き
現在の起こってるアメリカ10年国債利回り上昇による株価下落を例に考えていきます。
・コロナによる経済対策で国は個人にお金を配ったり、国債を買ったりすることで市場にお金をばらまきます。
・政府によって国債が買われたことで国債の価格は上がります。(株と同じように需要が増えれば値は上がります。)国債の価格が上がると国債の利回りが下がります。
・お金が市場に溢れる中、国債を買っても利息が全然つかないので、お金は株式市場に流れてきます。
株を買う人が増えるので株価は上がります。
・株価がどんどんあがって行く中、ワクチンで感染者が減少、失業者も改善されてきて実体経済の回復がみえてくるとインフレ懸念(期待)が膨らんできます。
・そうすると、これまで買われて価格があがっていた国債が今後の価格下落を恐れ売り始めます。国債を売って利確する人がでてきます。国債が売られることで利回りがあがります=金利が上昇します。
・金利が上昇すると株の魅力が減少してくるので株が売られ始めます。株価が下落します。
実際はなぜこのタイミングで金利が急騰したかは憶測ですし、金利の上昇要因、株価の下落、上昇要因には様々な要素が絡み、利回りだけによるものではありません。
ただその中でも金利が与える影響は非常に大きいのがわかるかと思います。
グレー:アメリカ主要500銘柄のインデックスS&P500の配当利回り
緑:アメリカ10年物国債の利回り
国債の金利がどんどん上がって株の配当とほぼ同じ水準になっているのがわかると思います。
こうなるとわざわざリスクをとって株に投資しなくても債権で安全に運用したいと感じる人もいるかもしれません。もちろん株はキャピタルゲインがありますので単純比較はできませんが、株式投資家のなかには債権への投資を考える人も出てくるでしょう。
ただもちろんその理由でどんどん買われると利回りは低下しますが。
金利の水準によって株と国債の魅力度合いが変わってくるというのがポイントです。
理論株価
株式投資において理論株価という概念があります。
理論株価とは、企業の資産や収益性や成長度などから「理論的にはこのくらいの株価になる」といった値を計算するものです。例えばある企業の理論株価が1000円だと計算した際に、実際の株価が500円であれば割安と判断できます。
理論株価を導く計算式は配当割引率やキャッシュフロー割引率など様々な計算方法があるのですが、一貫しているのは金利で割っているという点です。
こちらはアメリカ株投資で有名な広瀬隆雄さんがYoutubeで紹介された概念式です。
あくまで概念なので、この式で具体的な理論株価を計算できるわけではないですが、非常に端的簡潔に各ファクターの関連性が示されており、この概念を理解しておくことは投資をする上で非常に重要です。
株価に影響を与えるのは企業の利益と成長性、そして金利となります。
株価を押し上げるのは
・利益が大きくなる時
・成長率が大きくなる時
・金利が小さくなる時
となります。
いくら利益が大きくても金利が高いと株価の評価はあがりません。例えば配当を3%だしていても金利も3%であれば株価は1です。これが金利が0.5%であれば株価は6になります。(数値はあくまで概念値です)
企業が生み出す利益は変わらなくとも、金利が動く事で株価は大きく動きます。
この株価、利益、金利、成長率の関係性は度々思い出して自分の投資を振り返るのに役立ちます。
是非覚えておきましょう。
金利が急にあがると新興グロース株が激しく売られる
金利上昇局面で一番売られやすいのが新興の割高なグロース株です。
バリュー株も金利の影響を受けますが、グロースほどではありません。
これはなぜかというと、人気の新興株はまだ利益がでていない企業が多く、現在価値の観点から金利の影響を受けやすいからです。
実際にOKTA, FVRR, CRWDといった人気企業はまだ利益が出ておらず、金利上昇のときに激しく売られました。
投資の世界では「 現在価値 」という考え方があります。
これは未来に得られる利益を現在価値に直すといくらになるかと計算する考え方です。
例えばあなたが今100万円もっていて今の金利が5%だったとします。
この場合今の100万円は1年後には105万円になります。
逆に考えると、一年後の105万円の現在価値は100万円と言い換えることができます。
仮に金利が5%から10%になると、1年後の105万円の現在価値は95.4万円となり、金利5%のときと比べると5万円ほど現在価値が下がります。
金利が高くなると将来得られる利益の現在価値は低くなります。
金利は5%で、期間を1年から2年に伸ばした場合、2年後の105万円の現在価値は95.2万円となり、1年後のときとくらべると5万円ほど現在価値が低くなります。
将来の得られる利益の期間が伸びると現在価値は低くなります。
この関係性をシンプルに示した計算式がこちらです。
(*企業の現在価値を測る計算式は無数に存在します、こちらは考え方の大枠と理解していただければと思います)
ここで伝えたいのは、金利が高ければ高いほど、そして利益を得られる期間が遠ければ遠いほど
現在価値は低くなるということです。
グロース株の多くはまだあまり利益がでていません。それでも株価が高いのは投資家が未来の利益に期待をして未来の利益に投資をしているからです。
そして、こういった未来の利益の現在価値は金利が高くなればなるほど目減りするのです。
ここにグロース株が金利に弱い理由があります。
逆に成長は低いが実際の利益がちゃんとでているバリュー株は影響は受けるもののグロース株に比べれば限定的です。株価が織り込んでいる未来の利益がグロース株ほど大きくないからです。
金利がうごく局面でどう投資するか
金利は株価にダイレクトに影響を与えるので日々必ずチェックしておきたいです。
大局観としては今が金利がリードする金融相場なのか、それよりも企業の業績が物を言う業績相場なのかという認識は必要かと思います。
そして自分の持っている株、ポートフォリオがどういった局面に強いのか、弱いのかも理解をしておく方が安全です。セクター毎の特性を理解しておくことも有用です。
もしS&P500の積立長期投資であれば、あまり一喜一憂せずにドルコスト平均法で買い増していくで良いかと思いますが、個別株は要注意です。
特にグロース株などを金利上昇局面でガチホは危険です。自分のリスク許容度を超えてきたら素早く売ることをおすすめします。
リスクを軽減するのであれば金利上昇局面ではポジションを減らしてキャッシュをもって、金利が下がってきて安定したら投資というのもよいかもしれません。
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