金は度々投資対象として検討されるアセットクラスです。
株や債権とともに常に投資対象の選択肢として上がるのが「金」です。
ただ、金に投資と言ってもどういうことなのか投資を始めたばかりの人にはイメージがつきにくいかと思います。
ここでは投資初心者向けに、投資対象としての金の特徴、金投資の方法についてまとめました。
・投資商品としての金の特徴
・どんな投資法があるのか
・金投資のメリット、デメリット
結論
先に本記事の結論です。
・金への投資は分散投資の考えからアセットクラスの一つとして組み込むのはあり
・特に経済ショックや紛争、天変地異の際の守り資産となりうる
・メリット
現物商品なので価値がゼロにはならないこと
希少性があり価値保存としての価値がある
・デメリット
金自体は利益を産まないこと
価格推移はマクロの理解が必要になる点
・金への投資する方法は大きく6つ。おすすめは金ETFへの投資。
*金の積極的投資を考えている方は「金への投資方法:【金投資のベストなタイミングはいつ?】金の価格が動く要因を知ろう」の記事をどうぞ
それでは詳しく解説していきます
金の特徴
金は昔から人々を魅了し、貨幣として長く使われて来た価値の高いものです。
黄金はその美しさで人を魅了し、また採掘が難しいため希少性も高いです。
サビに強く、柔らかいので加工もしやすいので保管しやすく利用価値が高いのです。
現在は貨幣としては使われませんが、美しく希少価値がある金は価値保存の意味で投資対象になっています。
利益を生まない
株は企業が利益を出し成長すればキャピタルゲインやインカムゲインを得られます。
債権であれば利息を得られます。
しかし金は現物、ただの石ころなので何も利益を生み出しません。
その為投資で稼ごうとする人が金投資でそれを成し遂げるのは難しいかもしれません。
インカムゲインを狙う人は買うべきではありませんし、積極的にキャピタルゲインを狙う場合も株式投資の方が向いています。
価値がゼロにはならない
株や債権はともに有価証券、ペーパーアセットですが、金は現物です。まずここに大きな違いがあります。
株や債権は発行している企業が破綻してしまえば、価値が全くの0になってしまいます。
しかし金は現物があります。市場の需給で値段の浮き沈みはありますが、価値が0になることはあり得ません。
供給量に限りがある
金は現物であるからこそ、供給量に限りがあります。
この希少性が金の利点です。
例えば現金や債権はある意味ただの紙なのでいくらでも刷ることができてしまいます
実際に景気後退の際には政府はお金を市場に流すため債券を買い取ってお金をどんどん刷ります。
金も日々採掘されていますが、急には増えません。
ですので、供給量が増えることでの価値低下が起こりません。
むしろ、世の中の現金が増えれば増えるほど相対的に金の価値は上がります。
他のアセットクラスとの連動性が低い
投資をする上で分散投資は重要です。
株、債権など異なる値動きをするに資産を分散することで、全滅を防ぐわけです。
金はどのアセットクラス(アセットクラスとは株、債権、などの投資先の種類のこと)とも連動性が低い為、資産の共倒れを防ぐ役目を担う場合があります。
こちらは各アセットクラスの相関関係を示した図です。

2015-2020年の5年がこちら

2000-2020年の10年がこちら
この数値は+1から-1まで示され、+1強い相関関係、−1は強い反相関関係、0は無関係となります。
金は株との相関関係がほとんどありません。
債権とは0.63と若干の相関が見られますが、総じて金は他のどのクラスとも強い相関関係や反相関関係にはありません。
ただ各アセットクラスの相関は絶対でなく、あくまでこれまでの数値で切り取る期間によっても変わりますので注意が必要です。
経済ショックに強い
金の特徴として経済ショックや天変地異にも強いことが挙げられます。
こちらは2005〜2020年までの金、アメリカ株(S&P500)、アメリカ10年国債利回りのチャートです。青が金価格、水色がアメリカ株(S&P500)の推移です。

2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックで株は壊滅的被害を受けました。
そして長期国債の金利が下落する中、金は値を上げています。
経済のショックや天変地異の際には企業業績の悪化や金利の低下による債権の魅力減により株、債権がともに売られることが起こり得ます。
その際に金は他のアセットと異なり現物ですので、価値保存の意味で金への投資が増えることがあります。
その為「有事の金」として安全資産として金へ投資する方も多いです。
過去のパフォーマンス
これはどの期間で切り取るかによりますが、仮に過去10年と20年の金、アメリカ株、アメリカ10年国際価格推移を見ると、

2010〜2020年の10年で見ると、アメリカ株が2倍以上になったのに比べ、金は+50%の伸びに留まっています。(紫=株、青=金です)

2000年〜2020年の20年間を見ると、アメリカ株が15%ほどの伸びなのに対し、金は6倍近くになっています。
どちらにしても金は長期に見ると右肩あがりできています。
2020年8月には2011年の最高値を更新しましたので、今後も期待できるかもしれません。
しかし株式投資のように根拠を業績などに頼ることはできずマクロの流れの中で現在金価格をどう評価するかという観点が必要になり、
配当も産まない為投資としてはなんとも歯痒い感じもします。
金のメリット、デメリット
・希少価値があり、経済不安時には相対的に価値が上がりやすい
・過去パフォーマンスはアメリカ株を凌ぐ時期もあり優秀
・他のアセットクラスと連動しないので安全資産として優秀
・ただの石ころなのでそれ自体では利益を生まない
・分析根拠がマクロに及び捉え所が難しい
金に投資する方法
金に投資する方法はいくつかあります。
純金積み立て
現物の金を毎月一定額積み立てで買う方法です。
毎月1,000円、1万円などと金額を決めて購入する定額積立、1グラム、5グラムなどと数量を決めて購入する定量積立があります。
買った時より売った時の方が価格が高ければ儲けが出ます。
購入場所:証券会社他、地金商、金属メーカー、商品先物業者
金貨・金地金
金の延棒や金貨を買う方法です。
手元に金の現物を保有できるのがメリットですが、盗難リスクがあります。
保管にコストがかかるのであまりおすすめしませんが、金を撫でたり、眺めたりして楽しみたい人はどうぞ
購入場所:宝飾店、地金商など
投資信託
投資信託は、運用の専門家(ファンドマネージャー)が投資家のお金を集めて運用をするものです。
投資信託は無数にありますが、このうち、運用対象が金や金に関連する金融商品を含む投資信託があります。こう言った投資信託に投資することで金に投資することも可能です。
購入場所:証券会社等
金ETF
ETFとは上場している投資信託です。
金ETFはお金価格に連動するように設計されたETFでです。現物の金を取引すると専用の口座を開く必要があります。
金の運用を本気で考えているのであれば金の現物取引も良いですが、株メインの人にはETFの方が楽かと思います。ETFですので株と同じように取引できます。
具体的にはSPDRゴールドシェア(GLD)への投資となります。
購入場所:証券会社
金鉱株
直接「金」に投資するのではなく金を採掘している企業の株を買うことも金投資の一つの手段です。
米国では金鉱株は金価格(ドル建て)に連動する傾向があります。
現物に比べて利益の伸び率が高くなる為、金で大きく儲けようと思ったら検討すべきは金鉱株です。
アメリカの金鉱株にはバリック・ゴールド(GOLD)、アングロゴールド・アシャンティ(AU) などがあります。
購入場所:証券会社等
金鉱株については「金鉱株への投資 金鉱株の特徴、主要銘柄と採掘コスト」で細かく解説していますので、興味のある方はチェックしてみてください。
金先物取引
先物取引は比較的少額の資金で取引でき、レバレッジをかけることで短時間で大きな利益を得られる可能性があります。ただ同時に短時間で大きな損失が生じる可能性もあります。
取引をする際は、資金に十分な余裕を持たせることが必要です。
購入場所:商品先物業者
おすすめの投資はETF
個人的には株をやっている方は金ETFが一番良いと思います。
現物の金を扱うのはどちらかというと大きな額を金に投資される方で、取扱いが株や債権とは異なりますので少し慣れが必要です。
安全資産として買う程度であれば市場で売り買いできるETFが流動性も高く扱いやすいと思います。
先物はリスクが高いのと、投資信託を選ぶメリットもあまり感じません。
もう少し積極的に利益を目指したい人は金鉱株のETFという選択肢もあります。
詳しくは「金鉱株への投資 金鉱株の特徴、主要銘柄と採掘コスト」こちらの記事を参照ください。
まとめ
金はどちらかというと守りに強い投資商品です。
利息や配当がないので、経済がうまく回っている場合はあまり魅力を感じませんが
経済不安、金融緩和などの局面では価値が相対的にあがることが起こります。
その為、アセットアロケーションの一部を金で持っておくという投資法が一番効果的でバランスのとれた投資かと思います。
例えば10%ほどを金に投資することで株が暴落した際の歯止めとなります。
現物商品の中では価値が確立されている一番固い投資商品かと思います。
しかし必ずしも組み入れが必要ではなく十分分散投資がされているようであれば無理に買う必要もないかなと思います。
金は基本守りの資産ですが、やり方によっては金で大きく儲けることも可能です。
少しリスクが高い投資になりますので、全ての人にはおすすめできませんが、金投資で儲けを出したい方は下記の記事を参照ください。
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