シンガポールのリートやアメリカ株で投資をしているとRights Issue(ライツイシュー)という言葉を聞くことがあるかもしれません。
ここでは
・ライツイシュー とは何?の解説
・ライツイシューは行使すべき?
・ライツイシュー Noticeの実例
についてご紹介していきます。
Rights Issueは特にある国の制度というわけではありませんが、
シンガポールリート運用の際のライツイシューを前提に紹介します。
Rights Issue(ライツイシュー)とは
ライツイシューとは企業の資金調達の一種です。
ライツオファリングと言われることもありますが、同じことです。
企業は資金を調達するために株を新しく発行(株を増やす)することがあります。
この新しく追加で発行される株を新株といいます。
新株は公募で不特定多数の人に売り出されたり、既存の株主に売り出されたりします。
ライツイシューとはこの
「新株の購入する権利=新株予約権」を無償で既存の株主に割り当てるものです。
英語を直訳するとRIghts=権利(新株を買える権利)をIssue=発行するとなります。
日本語で新株予約権無償割当といいます。
株主はライツイシューを受けて新株を買うこともできますし、買わずにこの新株予約権を売ることもできます。そして新株は通常現在の株価よりは安い価格で買うことができます。
割り当てられるライツ(新株予約権)は自分の持ち株数によります。
例えば総株数の10%の株を保有していると、ライツイシューの際新株発行数の10%のライツを得ることになります。
ライツイシューのNoticeが来た場合は下記の3択のアクションを起こすことになります。
- 新株購入の権利を行使し新株購入(割り当てられた権利、全てか、部分的に)
- 新株は購入せず、購入の権利を売却 *
- 上記のアクションをどちらも期限内に行わないと権利消滅
*ライツイシューにはRenounceableとNon-renounceableの2種があり、Renouceableのみがライツを売却可能です。
権利消滅は勿体無いのでライツを行使するか売却するかの起こしましょう。
行使をするしないはNotice Letterにその旨を記載し返信することになります。
売却する場合は証券口座にあるライツを画面上で売却することになります。
Notice Letter の実例を最後にのせていますので参照ください。
ライツイシューは行使すべきか?
ではライツイシューは行使して新株を買う方がいいのでしょうか?
それとも売ってしまって利益を得た方が得なのでしょうか?
個人的には、保有している銘柄に満足で今後も持つ気でいるのであればライツは取得した方が良いと思います。
理由は3つです。
- 市場より安い価格で買えるので、その場で損はしない
もし嫌ならすぐ売って益を得ることも可能
2. ライツを行使して新株を取得しないと自分の保有株の利益が薄まる
株数が増えると、その分一株当たりの利益(EPS)は薄くなります。
ですので増加分を買わないということは自分の持分の利益が減ることになります。
3. ライツを売却して1ライツSGD1以下。ほとんど利益にならない。
行使しない方が良い理由はあまり思い当たりませんが、これから株価がライツ価格以下に下がると踏んだ場合は売却もありえるかもしれません。
ただこの価格下落予想が一時的でなく、今後見込みがないと考える場合はそもそも株自体売ってしまった方が賢明かと思います。
尚、勿論ライツ入手してもキャッシュがなければ買えませんので、こういう時のためにも投資用原資は常時確保しておきましょう。
留意点
ライツイシューについて気にしておいた方が良い留意点を2点ご紹介します。
ライツの価格について
ライツイシューにて発行された新株は市場価格より割安で購入できるケースがほとんどです。
割安で買えるので何か得をした感じがするのですが、ただこのライツ価格は安ければ安いほど良いというものではありません。
なぜならそれは発行側の企業がそれだけ安くしないと新株が売れないと思っていることに他ならないからです。
逆に強気な値段提示できるということはそれだけ経営や株主期待への自信があるということの表れでもあります。それだけ強い企業ということにもなります。
またライツ価格が市場価格からかけ離れて例えば30%40%も安いとなると現行の株価が著しく下がる危険性もあります。 あまり市場価格と離れすぎているのも考えものです。
ライツイシューと株価
企業がライツイシューを行うことで株価が動くことがあります。
先に述べたライツ価格の市場価格からの乖離が要因の場合もありますが、それ以上に今後のその銘柄への期待度が変化するからです。
これはあがることもあれば下がることもあるので何とも言えませんが、企業の増資に市場が反応します。
例えば増資をして新規事業を立ち上げようとしている場合、株主からその新規事業計画が魅力的に移れば企業はさらなる期待を受けて株価はあがる可能性が高いです。逆に何かネガティブな理由による増資は株価の下落が予想されます。
増資の理由は要確認です。
REITの場合はライツイシューは割と頻繁に行われます。これはREITの性質上必然です。
REITは90%の利益を配当で株主に還元する代わりに国から免税優遇を受けています。
利益の90%を株主還元しているので手元キャッシュがありません。
そのため事業拡大の為に新たな不動産を買う際、増資がマストです。その際ライツイシューをするわけです。
ライツイシュー後は不動産を買い事業拡大しますが、REITにとってはこの不動産購入が経営判断の全てと言っても過言ではありません。
どの物件を買うのかは非常に大事です。そしてその方向性にが株主にどう評価されるかで値が急に動くことがあります。
尚、このような増資の際に株価が必要以上に影響を受けない為にも長期投資目的の方には時価総額が大きめのリートをおすすめしています。
ライツイシューNoticeの実例
ここからはライツイシューの実例を紹介します。
シンガポールリート、Capitaland Commercial Trustのライツイシューになります。
SUBJECT : CAPITALAND COMMERCIAL TRUST– RIGHTS ISSUE
We have been notified and onward communicate to you on a good faith basis the following information in relation to the above-captioned corporate action:
RENOUNCEABLE RIGHTS ISSUE (THE “RIGHTS ISSUE”) OF 513,540,228 RIGHTS UNITS AT AN ISSUE PRICE OF S$1.363 FOR EACH RIGHTS UNIT (THE “ISSUE PRICE”), ON THE BASIS OF 166 RIGHTS UNITS FOR EVERY 1,000 EXISTING UNITS (THE “RIGHTS RATIO”) HELD BY ELIGIBLE UNITHOLDERS AS AT 29 SEPTEMBER 2017 AT 5.00 P.M. (THE “RIGHTS ISSUE BOOKS CLOSURE DATE”), FRACTIONAL ENTITLEMENTS TO BE DISREGARDED
↑ Renouncebleなのでライツを取得せずに売ることも可能
Ex Date: 27 September 2017 Record Date: 29 September 2017
( Rights Trading Period : 04 October 2017 to 12 October 2017 )
Expected date of crediting and commencement trading of new shares : 26 October 2017
Please note that we are providing this information to you as custodian of your securities and purely as a communication conduit in good faith. Responsibility for the information and any action contemplated remains solely with the party issuing the notice. Please inform us if you wish to subscribe to the Rights by returning the completed and signed form, together with subscription monies to us by 12 October 2017 5.00 p.m. (“Closing Date”). If we do not receive your response by the stipulated Closing Date, it will be deemed that you do not wish to subscribe to the Rights. Please note that we will not send any further notification for this event.
RE: CAPITALAND COMMERCIAL TRUST– RIGHTS ISSUE
Client Name : XXXXXX
Account No : XXXXXXX
Quantity Held : 3500 ( 保有株数 )
Rights Entitlement : 581 Rights at issue price of S$1.363 per Rights ( 取得ライツ数とライツ価格 ここではSGD 1.363。この日の市場価格は1.68。約20%割引)
下記にてアクションを選ぶ
PLEASE TICK ACCORDINGLY:
To subscribe the Rights entitlements fully ライツを全量行使する
To subscribe the Rights entitlements partially ________. 部分的に取得する
To subscribe for an excess1,2 of __ Rights. 取得ライツに追加でライツを購入する
I do not wish to subscribe for the Rights entitlements. 行使しない
手数料はSGD 10.70
If you wish to subscribe to the Rights, please note:
There is a PSPL handling fee of S$10.70 (S$10.00 + S$0.70GST) in addition to the subscription amount.
ちなみにライツ取得せずにライツを販売した際は1ライツSGD 0.28で販売が可能でした。
下記の黄色欄の箇所がライツ箇所です。この場合は1ライツ0.28×581ライツで全て売却した場合はSGD162.68で売れる計算です。
ライツを売却をするの場合はNoticeには取得しないで返事をしておいて、証券口座にあるライツを売却してください。
上の例のように証券口座の画面で保有株の欄に割り当てられたライツが追加されているはずです。
まとめ
・ライツイシューは企業が資金調達の為に新株発行し、
それを既存株主にオファーするもの。
・ライツイシューの連絡を受けたら取得するか売却するかアクションを起こそう
(何もしないと権利がなくなる)
・満足している銘柄であればライツイシューの行使がおすすめ
ライツイシューは企業の事業拡大のサイン、保有しているREITや株が今後何に投資をするのか確認しておこう!
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