金が高騰すると金への投資を考える人も増えてくると思います。
金は政情不安、経済不安、天変地異の際にお金が流れ込みやすい資産です。
ここでは金への投資を考えている方に
金の価格変動の要因と金に投資するタイミングについて解説します。
金は安全資産、守りの資産としての性格が強いですが、
金が高くなる景況局面が存在するのも事実。そこを狙い積極的に投資することも可能です。
株であれば企業業績の研究がメインですが、金に投資する上で考えるべきはマクロの動きです。
世界経済がどのように動いているのかを多面的に理解して金の現在価値を考える必要が出てきます。
ドル、株、債権、金利、を考えた時に金へ魅力が相対的に上がシナリオが描ければ投資チャンスが見えてくると思います。
以下、金の価値を考える上での注視したいポイントをまとめました。
結論
金利に注目
まず確認したいのが金利です。
金利と金の価格は逆相関の関係で知られています。
こちらは2010~2020年のアメリカ10年物国債の利回りと金価格の推移です。
青が金、水色が国債利回りです。きれいに逆相関になっています。
国債の利回りが下がると相対的に金の魅力が増します。
もう少し前まで遡り、2000-2020年の20年間の価格推移はこちらです。
見にくくて申し訳ないです。
では、なぜ国債の利回りが下がると金が買われるのでしょうか?
単純に国債と金を比較すると、国債を買えば利息をもらえますが金は保有していても何も貰えないので国債の方が魅力的です。
例えば国債の利回りが0.5%の時、金は利回り0です。
国債の方が0.5%お得ですね。
ただこれにインフレ上昇率を加味すると話が変わります。
なぜならインフレ上昇率が仮に1.5%だとすると、
0.5%の利息を受け取っても国債を買った人は相対的に1%分損をすることになるからです。
金は利回りこそ0ですが、一般的に物価が上昇すれば連動して価値が上昇します。
ですのでインフレ上昇率と一緒に金は価値が1.5%上がります。
0.5%しか上がらなかった国債と比べ、結果的に金の方が得となります。
もう少しわかりやすく概念化すると下記のような感じになります。
(現実的な数字でないのであくまで概念として捉えてください)
インフレ時に一番リスクが高いのが現金です。
銀行の金利は一番低いので持っているだけでどんどん価値が低下していきます。
国債も利回りがインフレ上昇率を超えない限り価値は目減りします。
しかし金は基本的に物価に連動して価格が動くので損をしにくいということです。
ちなみに2019年のインフレ率は日本で0.99 %アメリカは1.82%です。
世界的には2%ほどのインフレ成長率が良いとされており各国それを目指しています。
日本で生活していると物価が上昇していることを感じにくいですが、世界的には弱いインフレが続いています。
この事実を認知しておくことは非常に重要です。
結論、金利が物価上昇率よりも低い局面では金は魅力的に写り、価格が上がりやすいと言えます。
インフレ予測
一般的には金利が低くなるとインフレへのリスクが高まります。
そして人々のインフレ上昇の予測が高まると金が買われやすくなります。
現金や債権で持っていても価値が目減りするので資産家は現金や債権を他の資産に変えようとします。
特にシニア層はすでに退職しており現在の資産を切りくづして生活をしていますので、手持ち資産が目減りするのは大打撃です。
インフレに強いのが株式と金です。
金は基本的に物価とともに値を上げてきたので、捉え方によっては業績によってどうなるかわからない株式よりも安定感のあるアセットということもできます。
こちらは過去の物価と金価格の推移です。
データソース:inflation data.com
1970年代のオイルショックで原油価格が上昇し世界的なインフレになると、金はどんどん買われ価格が急騰しました。
2008年以降はリーマンショックで原油価格の急落とともにデフレに突入。
通常であれば金も値を落とすところを、当時の各国の景気刺激策によりインフレ懸念が浮上し金は値をさらに上げました。
このように金の価格はインフレ率と相関関係が強いので、インフレ予測をウォッチしておくことも有益です。
因みに、リーマンショック後のようにインフレ率が低迷しても金価格上がったり、
金利が下がってきてもインフレ予測がそこまで上がらないケースもあります。
これらはマーケットの自然な動きというより、国の金融政策や人間の心理が要因になりますので、相関関係を盲目に信じるのでなくデータを常に取りにいくことが大切になります。
現在のFOMC(連邦公開市場委員会、アメリカの政策金利を決定する委員会)のアメリカのインフレ予測は2021年で1.6%、2022年は1.7%。IMFは2021年は2.2%です。IMFの方が楽観してますね。
現在日本を含め多くの国が2%のインフレを目指しているので、FOMCはまだ2022年まではデフレが続くと今のところ予測しているということです。
ドル・インデックス
次に確認したいのは、金と現金USDとの関連性です。
これまでドルと金は逆相関の値動きをしてきました。
ドルが売られドルの下落局面入りした場合、金の価格が上がる可能性があります。
こちらはドルと金の過去の価格推移です。
ドルの価値はこれまで上昇と下落を7〜8年ごとに繰り返して15〜16周期を形成しています。
この周期をヒントに金への投資を行うのもありです。
2020年に下落相場に入りましたので、これまでの周期に当てはめると、ここから7〜8年ドル安相場が続く計算です。=金があがる可能性が高いということです。
なぜドルが売られると金が上がるのか
金価格は一般的にドル建て表記です。
ですのでドルの為替レートが下落すると、米国以外の需要家にとって割安になります。その為、これらの投資家の買いが入り、ドル建て価格が押し上げられやすいのです。
例えばドルが下落して、USD=110円だったのが105円になったとします。
その際の金が1800ドルの時、以前であれば1800ドルx105円=198,000円必要だったのが、ドルが安くなったことで1800×105円=189,000円で購入できることになります。
日本の投資家からすると金が以前よりお得に買えるので、購入をする動機になります。
こうして海外の投資家がドル建の金を買いに来て金の価格が上がります。
もう一つの理由はドルがペーパーマネー、金は実物資産だからです。
資産運用の世界において、ドルと金はシーソーの両側に乗っているようなものです。
期待インフレ率や信用収縮などでペーパーマネーへの信用が低下すれば、実物資産である金におかねが流入しするというわけです。
因みに一般的にアメリカの景気が良い時には金が売られてドルが買われます。
一方で、不況時や紛争、テロなどで地政学的リスクが高まった時は、リスクの高い株式などが売られて金へと資金が流れてドル建て金価格が値上がりする傾向があります。
まとめ
金は現物資産のため、底堅い値動きを見せる守りの資産として知られますが、
世界情勢や今回みてきた各種指標を見ながら投資をすることで株以上に儲けることも可能です。
金が上がりやすいタイミングは下記です。
シナリオとしては、こんな感じが一例です。
- アメリカ経済が不況入りし、政府が金利を下げる、金融緩和で市場にお金をばらまく。
- その結果ドルの価値が下がりドル安へ。大量に溢れたドルと低い金利水準がインフレリスクを次第に高めていく。
- 実際のインフレ下ではどんどん値をあげる。
こう言ったシナリオ下では積極的に金を買いに行くのものありだと思います。
個人的には株の方が投資には向いていると思いますが、アセットアロケーションに組み込み守りの資産とする、経済の流れを見て積極的に投資する等、金は間違いなく良い投資の選択肢の一つになると思います。
是非この機会に金への投資を検討して見てください。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
あなたの投資や経済の理解の助けとなれば嬉しいです。
それでは、また。
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