2024年8月株価暴落から高騰なぜ?キャリートレード解説

株・投資の勉強

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投資くん
投資くん

8月に入って株が暴落したり、高騰したりしていて不安定だけど何が起こっているの?

今は投資しない方がいいのかな?

こんな疑問に答えてきます。

本記事を読むことで2024年8月初頭に起きた株価の乱高下の要因を理解することができます。

現在アメリカの株式に投資している人、これから投資を考えている人の参考になればと思います。

著者;ぽちゃ

シンガポールと東京二拠点サラリーマン投資家。運用額4,000万円、年間受取配当70万円。
2018年配当の存在すら知らない状況から投資スタート。その後、投資の重要性を知り備忘録としてブログにて発信開始、最高月間4万PV。
2021年Youtube開始、2022年に「シンガポールでのお金の増やし方」を出版(レビュー★4.5)。
シンガポールの日系最大級メディアSingalifeにて継続的に投資セミナーに登壇中。

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2024年8月の株価の乱高下

Screen showing data about the financial crisis because of the coronavirus

2024年8月に入り、株価が乱高下していて安定しません。

上記は2023年8月から2024年8月の日経平均(水色)とS&P500(青色)の推移です。

8月5日の日経平均株価は4451円安と過去最大の暴落。これまで最大の下落幅であった1987年10月20日(10月19日のアメリカのブラックマンデー翌日)の3836円の暴落幅を大きく超えました。

かと思うと、翌日の8月6日には +3217円で過去最大の急上昇をみせました。

アメリカ株も同じタイミングで下落、その後2週間ほどで急回復をしています。

過去にもコロナショック、リーマンショックなど暴落はありましたが、ロックダウンや証券会社破綻などきっかけが明らかでしたが、今回の暴落は要因が一見わかりずらく金融周りでも混乱が広がりました。

まずはなぜ暴落したのか、その要因から見てきましょう。

なぜ暴落したのか?

Side view of stressed young broker sitting with head in hands at desk while working from home

アメリカ景気後退の懸念

今回の暴落の要因は主にアメリカの景気後退への不安があります。

8月頭に発表された景況感指数や雇用統計で悪材料が重なりました。

8/1  ISM製造業景況感指数 の景況感悪化

8/1のISM指数では非製造業の景況感が50を下回り景気が悪いとの指数が示されました。

8/2 失業保険の新規申請件数が増加=雇用悪化

8/2に発表された雇用統計も悪い材料が並びました。

失業保険の新規申請件数は予想の236Kを超える250K件。

8/2 非農業部門雇用者数の増加数減少=雇用悪化

非農業者部門の雇用者数の増加は17.5万人の予想に対して結果11.4万人と思うように伸びませんでした。

8/2 失業率が上昇=雇用悪化

失業率は4.3%と4.1%の予測以上の結果となり、こちらも景況感の悪化を裏付けるような数値になっています。

ISM景況感指数や雇用統計の結果は今後の経済の動向を占う重要指標です。

今回はすべての指数が景気悪化を示唆したため株価に影響がでました。

8月初旬に出た全ての指数、統計が景気悪化を示唆

8/1  ISM製造業景況感指数 ↓

8/2 失業保険の新規申請件数が増加 ↓

8/2 非農業部門雇用者数の増加数減少 ↓

8/2 失業率が上昇 ↓

そしてこの景気後退懸念に加え、今回の暴落の大きな理由とされているのが「キャリートレードの巻き戻し」です。

円キャリートレードの巻き戻し

まずキャリートレードについて説明します。

2024年8月のアメリカの金利は3.9%ほど、日本は0.8%ほどです。

コロナ後の各国は金融緩和をして経済を動かしましたが、アメリカはその後景気回復インフレ抑制のため金利を上げています。一方日本はデフレが解消できず金利を上げられず、低金利のまま。大きな金利差が生じています。

すると金利の安い日本よりも金利の高いアメリカのドルを買う動きが投資家の間で広がり円が売られるようになりました。

2022年以降、円がどんどんと値を下げ一時1ドル=160円をつけました。

ドル円チャート

米国長期金利(米国10年国債)

金利差が生じたことにより円の運用としての魅力は減りましたが、調達の側面からみると低金利でお金が借りれる円は非常に魅力的です。

投資家はこれに目をつけて円で資金を安く調達して景気のよいアメリカで運用するようになります。このように金利を利用した運用をキャリートレードと言います。

具体的には、投資家はまず低金利の円を借ります。

そして借りた円をドルに両替し、アメリカの優良企業(例えばAppleやNvidiaなど)の株を購入し運用します。

高金利のアメリカで借りるよりはるかに安く資金を調達できて円安が続く限り、利息の支払いも問題ありません。

日本の低金利、円安が続く限りこの利益構造は続き海外のヘッジファンドはこの円キャリートレードで巨額の益を出していたと言われています。

しかし流れが変わったのが7月31日。日銀が国債の買い入れ減額と追加の利上げを決定。今後の利上げを示唆するような発言もあり円高が進行しました。

機関投資家は巨額な資金を運用していますので為替が1円動いただけでも大きなインパクトがあります。

円高になると円の借り入れのコストが高くなり、利益が減ります。また金利が上がるとなるとさらに利益が圧迫されます。

さらに8月頭にはISMの指数と雇用統計の結果で景気後退が示唆されアメリカでの運用にも不安感が増しました。

その中で円キャリートレードのをしていた投資家がキャリートレードで購入していた銘柄を売り、損失穴埋めをしたと言われています。これを円キャリートレードの巻き戻しと言います。

今回の暴落の背景にはこの円キャリートレードの巻き戻しも大きな要因と言われています。

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株価暴落後の急回復

アメリカ経済の景気後退の懸念解消

恐怖の暴落後、今度は急上昇。2週間後にはアメリカ株はほぼ回復しました。

回復の理由は暴落理由から一転、アメリカ経済が失速を免れるという期待が高まったことが主たる要因と見られています。

8/8 失業保険の新規申請件数が減少=雇用改善

まず8/8に失業保険の新規申請件数が落ち着きます。市場予想を下回り雇用が改善している安心感が広がりました。

8/13 生産者物価指数(PPI)の上昇がストップ=インフレ懸念払拭

8/13には年初来上昇を続けていたPPIの上昇がストップします。市場予測を下回ったことで懸念されていたインフレへの警戒感が緩みました。これでFRBのスムーズな利下げも期待できます。

8/14 消費者物価指数(CPI)が予想より低下=インフレ懸念払拭

総合指数の伸び率は前年同月比2.9%で、4か月連続で前月を下回る結果となりました。

予想の3.0%よりも低くく物価上昇が落ち着いたことでインフレはもう過去のこととの認識が広まります。

8/15 米国小売売上高が年初来最大上昇=景気強い

インフレ懸念はあれど、アメリカ市場で重要なのは個人消費。8/15に発表された米国小売売上高が年初来最大上昇率の1%をつけたことで消費が堅調であることを確認できました。

インフレ懸念の払拭、雇用、消費のポジティブ指数により株価急回復

8/8 失業保険の新規申請件数が減少 ↑

8/13 生産者物価指数(PPI)の上昇がストップ ↑ 

8/14 消費者物価指数(CPI)が予想より低下 ↑

8/15 米国小売売上高が年初来最大上昇 ↑

暴落後8/8の失業保険の新規申請数を皮切りに9月の利下げを織り込んだ中、よい材料が次々にでてきたことが株価の急激な回復につながりました。

物価高、金利高で借り入れコストがあがっているもののアメリカの消費は堅調であることに安心感が一気に醸成されました。

今後のアメリカ相場はどうなる? 

The New York Stock Exchange on Wall Street in New York City.

アメリカ株の暴落で、Aiバブルを想起された方もいるかもしれません。

現在マグニフィセント7が株価を押し上げていますが、これらの企業はもれなくAiにおける先端技術分野での活躍が評価されています。

マグニフィセント7(Magnificent 7)

アップル(Apple)、アマゾン(Amazon)、アルファベット(Alphabet / Google)、メタ(Meta )、マイクロソフト(Microsoft)、エヌビディア(NVIDIA)、テスラ(Tesla)といったテクノロジー業界の巨人たちのことを指します。

ただAiが実体経済をどの程度押し上げるかはまだ未知数。期待感が先行している、ドットコムバブルに似ているという人もおり、Aiバブルに突入を懸念する声もあります。

こちらはAiで欠かせない半導体株の値動きです。ARMは年初から約1.8倍、NVIDIAは年初から2.6倍以上となっています。

Ai銘柄の筆頭、NVIDIAの現在のPERは74倍。

加熱感はありますが、2020年2021年は85倍以上あったことを考えるとNVIDIAとしては許容範囲とも感じます。

S&P500の全体のPERは29.37倍。高いですが異常値とまではいきません。

VIX指数は16.27。VIX指数の見方は「10〜20なら正常、20以上なら危険」という目安が基本です。 

こちらは金利動向の見通しです。今後FRBは利下げを実施していくとみられるので、こちらは株価を押し上げる要因になります。

今回の暴落でFRBの利下げが遅かったとの見解もありますが、金利の操作はとても難しいですね。

参考までBloombergが作成している利下げ後の過去シミュレーションです。

今がバブルかどうかはわかりませんが、株価が高い水準にあるのは確かだと思います。

たださらに上を見ていく材料はあるので今後も株価があがることも十分あり得ると思います。

個人的には長期的には右肩上がりだが、2024年前半ほどの上昇はないのではと思っています。

今後のFRBの金利動向、Ai関連のニュース、日銀の発表には注視が必要でしょう。

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今アメリカ株に投資すべきか?

Man with sunglasses looking at smartphone outdoors

以上を踏まえた上で現在の相場でアメリカ株に投資すべきかどうか、ですが、

すでに投資をしていてS&P500のインデックスなどに長期投資をしている人は特に気にせずホールドでよいと思います。私もホールドしています。

私自身は暴落後8月6日にQQQを追加購入しています。暴落時に購入するのが常によい選択肢ではありませんが、長期投資の場合は長く持てるのがメリットですし、インデックスの長期投資となると資金が増えるまで時間がかかりますので安いと思った時に購入するのはパフォーマンス向上のためには必要だと感じています。

ただし個別株はこの限りではありませんのでお気をつけください。個別株投資はマクロ経済を見た上で、企業の経営状況をしっかりと追っておく必要があります。自分の目論見が外れたら一度解消する方が安全です。

これから投資を始める方は、一気に投資せずタイミングを見ながら少額から始めるのがおすすめです。

今は株価が高いので買いにくく感じるかもしれませんが、暴落時には怖くて買えないという心理も働きます。まずは無くなってもよいくらいの金額から始めて投資になれてから自分のすきなスタイルで投資をしていくのがよいと思います。

初心者にはS&P500などのインデックス投資がおすすめです。S&P500は長期的にはずっと右肩上がりで勝てる確率が高い市場です。

まとめ

Graph Growth Development Improvement Profit Success Concept

今回は8月に起きた株価の乱高下について解説しました。

安定的に伸びているかに見えるアメリカ市場も綱渡り状態で材料次第ではいとも簡単に崩れることは教訓だと個人的には感じました。

これまでの歴史をみてもわかるように株は必ず暴落します。これは防げません。

重要なのは暴落した際に原因を理解できるか、そしてそれを知った上で自分がどうするのかです。

特に株は買うより売る方が数倍難しいです。次に暴落が来た際に最低限の備えができるよう今回の解説が役立てればとても嬉しいです。

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