【初心者向けに解説】原油価格の決まり方と経済への影響 

海上石油採掘所 株・投資の勉強

*当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

スポンサーリンク
スポンサーリンク

ここでは原油の価格変動が経済にどういった影響を与えるか について、初心者向けにわかりやすく解説していきます。

この記事を読むことでわかること

・原油についての基礎知識がつきます
・原油と経済の関係がわかります
・経済のニュースがおもしろくなります
・原油価格と株価の関係について知れます


原油は私達の経済活動に綿密に結びついています。原油を理解することで経済や世の中の流れがわかり、ニュースももっとたのしくなります。

是非一読してみてください。

動画はこちら!

原油って何?

原油

早速ですが、原油とは何でしょうか?

実は原油が何からできているのかは、未だにはっきりとわかっていません… !

ただ、有力な説によると、原油は海の中のプランクトンや海草などの死骸からできているそうです。
地中で何千年もかけ、土の中にいるバクテリアと地下の圧力と熱の働きで、原油になったそうです。

そうしてできた原油が地下の圧力で泥や砂の隙間から上へしみだしたり、地下の岩の隙間に貯まります。 私たち人間はそれを採掘しているというわけです。

そしてこうして採掘された原油が精製されて、ガソリンや灯油、プラスチック製品など様々な用途に使われています。

ソース:シゴラボ

ガソリン、軽油や重油は人やモノの移動に不可欠なものです。プラスチックはペットボトル、スーパーの袋など生活のありとあらゆるシーンで使われています。

これだけ私たちの生活を支えているエネルギーなので、原油は影響力が強いのです。

原油価格はどうきまる?

原油価格の上昇や下落は度々ニュースでとりあげられますが、原油価格はどのように決まるのでしょうか?

需要と供給

原油も他のあらゆる商品と同じように市場の需要と供給で決まります。

需要に対して供給が少なければ価格はあがり、逆の場合はさがります。

ここで供給元の原油原産国と需要側の消費国トップ5をみてましょう。

原油の産油国ランキング


産油国ランキング TOP5 ( 2018年)

 順位    国名     生産量(バレル/日量) 
1    アメリカ    1,305.7万
2サウジアラビア1,195.1万
3ロシア1,125.7万
4イラン498.2万
5カナダ483.1万

(単位:バレル 出典:BP Statistical Review of World Energy 2018 – Oil: Production, )

まず、原産国ですが、石油ときくと、中東、アラブ諸国?と思いがちですが、世界で一番原油がとれているのは実はアメリカです。

以前はサウジが1位だったのですが、アメリカは2010年頃からシェールオイルという原油をとることに成功しました。

シェールオイルとは頁岩(けつがん)層と呼ばれる硬い地層に含まれる原油で、以前はとることができなかったのですが、技術革新により採掘に成功したのです。

これによりアメリカは世界一の産油国となりました。

現在 産油国のトップ3のアメリカ、サウジ、ロシアの3カ国が約4割の世界シェアを握っています。

原油の消費国ランキング

次に消費国のランキングです。

消費国ランキング トップ5(2018年)

順位国名 消費量(バレル/日量)
  1     アメリカ    1988万
2 中国1279.9万
3 インド469.0万
4 日本398.8万
5 サウジアラビア391.8万

(単位:バレル 出典:BP Statistical Review of World Energy 2019 – Oil:Consumption, 2018)

こちらも1位はアメリカです。続いて中国。この2か国の消費はとびぬけています。

アメリカ、中国、インドという順番は国の規模を考えても妥当ですね。特にアメリカは車社会ですので、消費が多いです。インドはおそらくまだまだ消費が増えるでしょう。

日本は世界4位の原油消費国です。 国の規模の割にはかなり消費していますね。ちなみに日本は原油の輸入元は80%以上が中東です。

原油の主役はアメリカ

原油の産油国と消費国のランキングをみてわかるように原油の需要も供給も1位はアメリカ。

原油のメインプレーヤーはアメリカなのです。

自国で原油がとれず、輸入に頼る必要があるのは、EU、日本、中国といった国。

逆に原油がとれて、原油の輸出が国の大事な利益の源泉となっているのが中東各国。

アメリカは基本的に自給が可能で、輸出で利益もあげることができるという強い立場にいます。

WTI 

原油の価格は市場の需要と供給によってきまりますが、具体的にニュースなどで報じられる原油価格とはWTI ( West Texas Intermediate)先物のことです。

WTIとは、 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているアメリカの代表的な原油の先物商品です。

このWTIの価格が世界の原油価格の基準となります。

原油は先物市場で取引されるので、株式市場で各銘柄の価格が上下するように、先物市場で売買される中で値が動きます。

投資家が原油の先物取引によって儲けようとするので、単純に現状の需給だけでなく、今後の原油価格の予測、経済動向の予測、といった投資家心理が価格に織り込まれていきます。

*先物ってなに?

先物取引とは将来の購入価格を今決める取引です。

例えば今5ドルのリンゴを「1年後に5ドルで100個買うよ」と今約束するのです。
リンゴの業者は例えば今年は通常よりリンゴが高いから、来年になればまた価格がさがるだろうと考えれば5ドルで販売するでしょう。
逆に今の価格は近年より安いから来年はあがると考えれば6ドル、7ドルじゃないとだめというかもしれません。

購入者は決めた金額でリンゴを100個仕入れることができるので、価格変動リスクをなくせます。業者はリンゴのコストが予想どおりいけば利益がでます。

これを実際の商品の受け渡しをせずにペーパー上、電子取引をして価格差で利益をえようとするのが先物取引になります。


原油価格の特徴

オイル

OPEC

原油価格、需給に対して大きな影響力を持つのがOPECです。

OPECとはOrganization of the Petroleum Exporting Countriesの略で、石油輸出国機構のことです。石油が豊富にとれる中東の国、イラン、クウェート、サウジアラビアなど現在13カ国が加盟しています。

そもそもは米英の石油メージャー(シェル、エクソンモービルなど)に対抗する為にできた組織です。

OPECに加盟している国は原油による収入が多いため、例えば原油の価格が下がって利益が減ってしまうと国の財政悪化につながり困ります。その為OPECで話し合いをして供給量を制限するなど価格をコントロールしようします。

供給を制限すると需要過多になり原油価格があがります。これによって高い利益率を保てるのです。



オイルショックの際にもOPEC加盟国が協力して価格を一気に上げたことが混乱に拍車をかけました。

しかし、これが完全に守られるかというと必ずしも守られるとは限りません



2020年3月の原油価格暴落ではOPECとロシアの減産協力の話し合いが折り合わず、逆に増産したことが原因でした。

OPEC(サウジ)としては減産して価格を保ちたかったが、そうすると利益は確保できますが、販売量は減るので売上はのぞめません。

ロシアとしては売り上げ減少で世界での原油のシェアを今以上に落とすことはできず減産には応じなかったのです。

このように原油価格には各国の思惑がからみあいます。


シェールオイルと発掘コスト

現在の世界一の産油国はアメリカですが、これは2010年頃にアメリカがこれまで技術的に発掘できなかったシェールオイルの発掘に成功したからです。

そしてこのシェールオイルの登場によって世界のオイル事情はがらりと変わりました。


サウジアラビアやロシアといった国は従来型の発掘でこれまで大きな利益を得ていましたが、アメリカのシェールオイルの発見で競争にさらされることになりました。

ただシェールオイルは発掘コストが従来型より高く、損益分岐点価格 は1 バレル 50 ドルくらいです。

その為、サウジやロシアが原油を増産して価格が50ドル以下になってくるとシェールオイル会社は苦しくなってきます。

ロシアなどは発掘コストがやすく30ドルでもなんとかなります。

しかし、だからといってサウジやロシアとしてもいたずらに自らの利益を放り出すことはないので、急な増産をすることは少ないです。


新しくでてきたアメリカのシェールオイルにシェアを取られないために、そして自国の利益を最大化するために、サウジ、ロシアは供給量を調整するのです。


暴落と急騰

原油価格はこれまで何度も暴落や急な高騰を経験してきました。

天災、株式市場不安、政治情勢等々、その時々によって価格の暴落や高騰の理由はことなりますが、根本的には原油という商品がとても腰の重い商品だからです。


原油の発掘、生産、供給というプロセスには多額の資金と時間が必要です

急なトラブルや重要の変化が起こった時にフレキシブルに対応ができないのです。




例えば車であれば需要が減ったり、増えたりした時に合わせて生産も増やしたり減らしたりがある程度柔軟に行うことができます。

ただ原油は掘り当てられる確率も10%程度、油田をつくるのにも数百億~数千億という莫大なお金がかかります。実際に販売ができるようになりまで最低でも5年くらいはかかります。

需要の増減によって供給を簡単には変えられません。供給量を増やそうにもかなり時間がかかるので、需要に対応するのにタイムラグが生じます。

その為に例えば天災でオイルプラントが被害にあい供給がへっても、他のオイルプラントが供給を増やして価格の高騰をとどめるといった動きがとりずらいのです。


この腰の重さによって生じるタイムラグが影響してある日我慢ならず急にあがったり、さがったりします。


原油価格が動くとどんな影響がある?

それでは原油が高くなったり、安くなったりすると具体的にどんなことが起こるでしょうか?

価格が高騰した場合と下落した場合、それぞれで考えてみましょう。

原油価格が上がるとどうなる?

日本など原油を輸入に頼っている国の経済全体に打撃
 物価が上昇、多くの企業のコストがあがり利益が減る、雇用にも影響する可能性がでてくる。

原油産出国は利益があがる、産出量は限定的

航空関連、自動車、化学品メーカーなどの業績悪化、株価がさがる

石油関連企業は利益が増えて、株価上昇

原油価格が下がるとどうなる? 

・日本など原油を輸入に頼っている国はコストが減るので助かる  
 多くの企業の利益が増えやすくなる。消費も増えて景気がよくなる

原油産出国は利益が減る、財政悪化
 通貨が安くなることもある


航空関連、自動車、化学品メーカーなどは儲けやすくなる、株価があがる

石油関連企業は採算がわるくなり、株価下落

アメリカシェール企業は価格競争に勝てずに倒産もありえる

石油関連企業の株や債券をもっているファンドや国家基金に打撃

まとめ

・世間一般でいわれる原油価格とはWTI先物原油価格のこと

・WTIは需要と供給に加え、投資家心理が織り込まれて値が動く

・供給元のOPECの増減産によって原油価格は操作される

・原油の生産も消費も世界一位はアメリカ

・株や債券とは異なり、財政政策や金融政策でコントロールをすることが難しい


いかがだったでしょじうか?
原油価格について理解が進んだようでしたら嬉しいです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました