「 経済的な堀 」とは? 企業の強みを見抜いて、株式投資の銘柄選定に役立てよう

株・投資の勉強

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株初心者くん
株初心者くん

株式投資の銘柄は、どうやって選べばいいのかな??
企業業績やファンダメンタルを見ておけばいいのかな?

企業分析を行う上で売上や利益率、ROEといった定量データは押さえておくべきポイントですが、
それと同じくらい定性的な側面を推し量ることも非常に重要です。

定性面とは数値化がしにくい性質です。

例えば「ブランド」は数値化しにくいですが、その企業の価値を高める需要な要素です。

その企業の今後の持続的な成長を支える価値となり得ます。

ここでは

株式投資の企業選定にあたり非常に大事な定性面のアプローチとして有名な

「経済の堀」について解説します。

「経済の堀」は世界で一番有名な投資家ウォーレンバフェット氏も常に気にしている良い企業に投資する

是非内容を理解し、今後の銘柄選定にお役立てください。

本記事のまとめ

・経済的な堀とはある企業が持つ競争力の強さや参入障壁のこと

・経済の堀を持つ構造的に企業は継続的な利益を生み出しやすい

・経済的な堀は大きく4つ
 ①無形資産
 ②乗り換えコスト
 ③ネットワーク効果
 ④コストの優位性

本記事の多くは書籍「千年投資の公理」からの内容の要約となっています。

長年読み継がれる名著で、とても学びが多いので、是非読んで見てください。

「 経済的な堀 」とは?

「堀」とは昔お城の周りに掘られた深い溝です。
城主はこの堀を築くことによって敵の侵入を防ぐことができました。

経済的な堀とは堀の経済版です。

企業が競合他社との競争に勝つために築く堀で、この堀が深ければ深いほどその企業は競争を勝ち抜き
長期にわたり継続的な利益を生み出したやすいのです。

長期間の優位性を生み出すものが経済の堀です。

経済的な堀とは単にシェアが高いであるとか、効率的な経営をしているということではなく、
簡単に真似できない構造的な競争優位性があるかどうかを見ます。

経済的な堀は大きく5つあります。

一つ一つ解説していきます。

①無形資産

無形資産とはブランド、特許、行政の許可などをいいます。

ブランド

ブランドは一朝一夕では作れません。
長い期間と継続的な投資が必要になります。
しかし一度築くことが叶えば企業に継続的な付加価値をもたらします。

ブランドを考える上で大事な問いは

「全く同じもにブランドをつけたら消費者はもっと高い金額を支払うか」
「ブランドにより
リピーターを確保できるか」

の2点。

ブランドの堀はそのブランドが有名かどうかでは決まりません。

例えば日清は誰でもその名前を知っていますが、だからと言って日清というロゴが入っているだけでカップラーメンに通常の1.5倍、2倍といった価格は支払いません。

一方、ティファニーはライバル企業が販売している同じ質のダイヤを綺麗な青い箱に入れるだけで高く売れます。ここには大きなブランドの堀があります。

ブランドは認知度よりも顧客の行動に影響を与えられているかが重要です。

特許

特許も大きな堀となり得ます。

ただ気をつけたいのは、特許には期間があり、期間が切れると競争相手がこぞって参戦してきて一気に優位性がなくなるという点です。

例えば、製薬会社は新薬で大きな儲けを出しますが、期限が切れればジェネリック品との価格競争に陥ります。

ですので、特許を堀と考えて企業に投資する場合はその企業が一つの特許に頼りっぱなしの一発屋でないことに気を付ける必要があります。

ですので、

「分散された特許のポートフォリオとなっているか」

「これまで継続的に刷新を重ねてきた実績があるか」

が特許が堀になりえるかの問いとなります。

行政認可

認可が必要な事業も無形資産の堀と考えられます。

例えば公共事業、製薬会社、調査会社などがこれにあたります。

特に価格設定が規制されていない市場では高い効果が発揮されます。
価格の規制というのは例えば以前の電力会社のように金額を自由に事業主が決められない場合に起こります。

行政許可が必要で価格規制がない企業の例として、
債権格付け会社のMoody’sが挙げられます。

Moodysの営業利益率は40%を超えています。
粗利でなく、営業利益率で40%です。
製造業だと営業利益率は5%くらいですので、これは物凄い利益率です。

他にも地域の認可を受けているゴミ処理業者などは、新たにゴミ処理所を作るむずかしさを考えると耐久性のある堀があります。

「行政許可のハードルが高く、価格設定が自由に行えるかもしくはROAが高いか」

行政許可を堀と考えるのであれば許認可のハードルの高さと利益率に注目したいですね。

②乗り換えコスト

乗り換えコストとは他の製品やサービスに乗り換えることが難しい、面倒な製品やサービスのことです。

例えば銀行の乗り換えコストは高めです。
銀行を選ぶ時には金利やサービスなどを比較検証して決めますが、一度決めてしまえば他社が金利をあげたからと言ってすぐには買えません。
書類の提出やクレジットカードや職場とうへの口座変更の連絡と手続きといった面倒で時間のかかる作業があるからです。

利用客は例え自分の銀行の金利が少し他社より低くても、乗り換えの手間を嫌がり銀行を買えません。
この乗り換えコストのおかげで企業はより多くのお金を顧客から引き出すことができます。

ソフトウェア関連も乗り換えコストが発生しやすいです。
企業の会計ソフトや画像処理ソフトなどは新しいソフトに変えようとするとデータを入れ直さなくてはいけなかったり、使い勝手がことなるので慣れるまで時間的なロスをすることも想像できます。

他にはジェット機に使われるようなハイテク部材。
今使っているメーカーのものより新しいメーカーのものが同等で少し安くても、万が一のことを考えると簡単には変えられません。

逆にスーパーで買えるような消費財は乗り換えコストがとても安いので他の堀を形成する必要があり構造的に苦しい。

乗り換えコストは非常に多岐にわたるります。

是非身近な製品やサービスの乗り換えコストを考えてみましょう。

③ネットワーク効果

ユーザーが増えれば増えるほど商品の価値が上がるのがネットワーク効果の高い企業です。

例えばクレジットカード会社。
ビザやマスターなどは利用者が多いからどのお店も導入を検討します。
もし新たなカード会社がもっと安い手数料で攻勢をかけても、誰も使っていなければそのカードに価値はありません。

Microsoftも良い例です。
Wondowsはすでに誰もが使っていて巨大なネットワークを構築済みです。そのため無料のOpenofficeが出てきても競争に負けません。

今をトキメクGAFAM銘柄はほとんどがこのネットワーク効果の堀を築いています。
膨大なユーザーを抱えるプラットフォームを構築することでサービスの価値をどんどん高めています。

ネットワークは情報や知識移転が基盤となるビジネスにとても相性が良いです。
逆に物理的な製品はネットワーク効果を享受しにくいです。

例えばコーヒーを販売してそのコーヒーを楽しめるのは一人ですが、ニュースは大勢の人が一度にサービスを享受することができるからです。

ネットワーク効果は、早期に優位性を確立することがキーとなります。

④コストの優位性

最後の堀はコストの優位性です。

他社より低コストを維持することで堀を築くことができます。

しかし単に経営のコストが低いというだけでは堀としては弱いです。

「その企業のコストの優位性を他社は真似できるか?」

「代替品が簡単に用意できるか?」

コストの優位性を考える際には、こう言った質問を投げかける必要があります。

そして前提としてコストの優位性の堀は顧客にとってコストが購入基準の高い割合を占める場合に強く働きます。

コストの優位性は4つの性質によってもたらされます。

①安い製造過程
他社が簡単には真似できない安く作る製造過程を築いている

②有利な場所
特に重くて安く、生産地の近くで消費されるものに働く
例:廃棄業者、砂利メーカーなど

③独自の資産
例えば鉱山や天然エネルギーが取れる土地を多く所有している

④規模の優位性
規模の優位性は販売、製造、ニッチ市場の3つの分野に分けられる

・販売:巨大な販売や配送ネットワーク。競合他社は急には構築できない。  

・製造:工場は大きくなることで効率化がすすむ。通常急に巨大な工場を作ることはできない。

・ニッチ市場:小さな市場で大きなシェアを取ることで市場の利を独占。市場が小さいので参加業者がほとんどいない。

堀に見えて、堀になり得ないもの

・素晴らしい製品
・大きなマーケットシェア
・経営効率
・優れた経営陣

これらは一見堀に見えますが、堀ではありません。

素晴らしい製品を生み出しても短期的には儲かりますが、その商品の需要が高ければ滝ほどすぐに真似されます。新商品は特許などの自身を守る経済的な掘がないと長く続きません。

マーケットシェアは常にトップが入れ替わります。
これは日産、GM、コダックなどを見ても明らかです。
重要なのはシェアの獲得率でなく、いかにシェアトップに行ったのかということ。
シェがトップに至った理由にはその企業の堀がある場合もあります。

経営効率や経営者は実は業績に与えられる影響はそれほど大きくなくまた不安定なものです。

堀はその企業が構造的に持つ継続性のある強さです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

企業の堀を理解できると今後長くリターンをもたらす銘柄を見抜く目が育つと思います。

なかなか難しいですが、是非企業の堀を意識して銘柄選定に活かしたいですね。

経済の堀についてもっと知りたい方は「千年投資の公理」を是非読んで見てください。

学びがとても多い書籍です。

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